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日本国憲法の問題点 |小室 直樹

日本国憲法の問題点日本国憲法の問題点
小室 直樹
集英社インターナショナル 刊
発売日 2002-04
価格:¥1,470(税込)


???戦後日本の憲法論議の「まったく以って奇妙なところ」は、護憲派も改憲派も「日本国憲法といえば第9条というスタンスをとり続けてきたことにある」。このために多くの国民も、憲法の急所は第9条であると思い込むようになった。「だから日本の民主主義はインチキだ」というのが本書の主題である。
???著者は、日本国憲法の最重要条項は、国民の「生命、自由及び幸福追求の権利」を保証した「第13条」であるという。日本政府の経済官僚は「バブル潰し」で国民の私有財産に干渉した。日本国民は気づいていないが、これは重大な憲法違反なのである。
?「なぜ日本国民は暴動を起こさないのか」。第13条の精神にのっとれば「国民の私有財産を攻撃した官僚の5人や10人ぐらい、市中引き回しの上、獄門さらし首にしたって許される」
???しからば、第13条の精神とは何か。トマス・ジェファソンがジョン・ロックの「社会契約説」に基づいて起草したアメリカの「独立宣言」である。これこそがアメリカン・デモクラシーのエッセンスであり、それを下敷きにして書かれたのが第13条なのだ。
???しかし、戦後日本の民主主義教育は、そのことを教えてこなかった。自衛隊も国民の生命の尊重をうたった第13条に照らせば合憲である、と著者は解釈するのである。この解釈に基づけば、日本政府が北朝鮮の「拉致疑惑」を放置しているのは「憲法の蹂躙(じゅうりん)」となる。なぜ、北朝鮮に自衛隊の特殊部隊を派遣して拉致された日本人を救出しようとしないのか。アメリカならそうするだろう。アフガン攻撃の際、アメリカ軍が逮捕したアルカイダのメンバーの扱いにしても、アメリカ国民の生命を守るためなら、アメリカ政府は彼らを「裁判にもかけず撃ち殺してもいい」。なぜなら、彼らは「捕虜」ではないのだから。
???そう言う一方で著者は、アメリカのアルカイダ攻撃を「イスラム教徒の複雑な心情」を理解しようとしない十字軍的戦いと非難しているのである(『日本人のためのイスラム原論』)。かなり鼻息の荒い憲法論議である。手放しのロック礼讃やステレオタイプの日本人観も気にならないではない。しかし、そういうところに目くじらを立てず、「物知り辞典」として読めば、四文字熟語とか漢語とかが覚えられる。(伊藤延司)

また目からウロコが落ちました。 2006-08-12
「日本人のための憲法原論」(痛快!憲法学)
の姉妹書ですが、人によってはこちらのほうが
面白いと感じる人も多いかもしれません。「憲
法9条と13条はときとして矛盾する」「総理
大臣を天皇が任命することは危険」「日本の教
育は教育の体を成していない」という指摘は
とても面白かったです。


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この記事は2006/9/24に作成しました。

【小室 直樹の経歴】
1932年生まれ。 

1955年、京都大学卒業。大阪大学大学院経済学研究科進学し、理論経済学を研究する。

1959年、阪大大学院博士課程を中退し、フルブライト留学生としてアメリカのミシガン大学大学院に留学。
同大で1年間学んだ後マサチューセッツ工科大学とハーバード大学の奨学金を得て理論経済学を学ぶ。

心理学を学ぶことが、社会学や政治学の理論化に有益であると考え、
1年後に再びミシガン大で社会学、政治学、心理学、文化人類学を学ぶ。

1962年帰国し、1963年、東京大学大学院法学政治学研究科進学。
社会学、社会人類学、法社会学、計量政治学を学ぶ。金がなくて、近くの小学校で夜勤の用務員のアルバイトもした。

1972年、東大から「選挙区の特性分析」で法学博士号取得。

ボランティアで自主ゼミナール(小室ゼミ)を開講。
小室ゼミ出身の研究者として、橋爪大三郎・宮台真司などが、また評論家として副島隆彦がいる。

『ソビエト帝国の崩壊』『ソビエト帝国の最期』など、ソ連の崩壊と、その過程を10年以上も前から予言していた。

現在は、現代政治研究所所長。




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